オーダースーツ入門 for beginners

オーダーが楽しくなる基礎知識

スーツのシルエット

ご用意しているスタイルモデルには、それぞれの特長があります。
まずはご自身が着てみたいと思うスタイルモデルを選んでみてください。

ビジネスやフォーマル、普段使いなど、様々なシーンを想像しながらお選びいただければと思います。

スーツシルエット比較

Savile Row Drape Model

「男性らしさを演出しつつ、着やすさも兼ね備えたスタイルモデル」

前方向に丸みのあるバストボリュームからウエストラインへ流れるように続く
「イングリッシュ・ドレープ」は男性らしい上半身を立体的に作り出します。

薄パットによるナチュラルなスクエアショルダーと、
日本人の体形に合わせた小ぶりなアームホールを採用することで
腕の駆動性を向上させ、着心地をよくしたものが
GINZA YAMAGATAYAオリジナルの「Savile Row Drape Model」です。

Italian Classic Model

「自然なフォルムで軽い着心地のスタイルモデル」

丸く柔らかなラインのドロップショルダーと
バストからウエスト・ヒップまで流れるような自然なラインを形成しています。

更にアームホールをコンパクトにすることでフィット感を向上させると共に、
高めに設置したボタン位置が足長スタイルを演出します。

イタリアのサルトリア(仕立屋)モデルにインスピレーションを得て、
コンパクトで軽い着心地の「大人の為のスリム・スーツ」として開発されたものが、
GINZA YAMAGATAYAオリジナルの「Italian Classic Model」です。

New British Model

「厳格さとシャープさを演出するスタイルモデル」

盛り上げられた肩先がショルダーラインに直線的な張りを持たせ、
強く絞り込まれたウエストラインと相俟ってドレッシーな印象を与えます。

更に長めのVゾーンから続くラウンドの大きフロントラインが
シャープさを演出します。

伝統を重んじる英国スタイルに現代の感性を持ってアレンジしたものが
GINZA YAMAGATAYAオリジナルの「New British Model」です。
ビジネスシーンはもちろんフォーマルにも最適なモデルです。

New Trad Model

「シャープさの中にモダンさを感じさせるスタイルモデル」

1900年初頭のアメリカのトラディショナルスーツ「№1サックスーツ」が起源とされるトラッド1型は、
ナチュラルな肩のシルエットと、胸ダーツを無くすことでウエストのクビレを強調せず、
すっきりとした直線的なイメージを持つボックス型のシルエットが特徴です。

更にアームホールをコンパクトにすることで着心地が改善させ、
ゴ―ジラインを高めに設定して、シャープでモダンなシルエットにアレンジしたものが
GINZA YAMAGATAYAオリジナルの「New Trad Model」です。

シングルスーツとダブルスーツ

スーツにはシングルスーツとダブルスーツの2種類が存在します。

シングルスーツとダブルスーツの違い

シングルスーツは前ボタンが縦一列に並んでおり、ダブルスーツは前ボタンが縦並びで2列になっています。

シングルスーツの源流は、食後にくつろぐラウンジルーム内で着用されいた屋内用のラウンジジャケットだったと伝えられています。
一方、ダブルスーツは、軍人用の防寒外套が源流だと伝えられており、左右どちらから風がきても寒くないように、
上前と下前のボタンを掛け変えることで風の侵入を防ぐことができるようになっています。

日本国内ではシングルスーツはビジネス向け、ダブルスーツはフォーマル向けという印象が根付いていますが、
実際にはどちらを選んでも問題はありません。

ちなみに、スラックス(ズボン)の裾を折り返していないものがシングル、折り返しているものがダブルとなります。

スリーピーススーツ

ジャケット + ベスト + スラックス(ズボン)を共布(同じ生地)で仕立てたものをスリーピーススーツ(三つ揃え)と呼びます。

ベストの無い、ジャケットとスラックス(ズボン)を共布(同じ生地)で仕立てたものをツーピーススーツと呼び、
現在ではビジネススーツとして最も目にすることが多いのではないでしょうか。

そんなツーピーススーツですが、元々のスーツの源流はスリーピーススーツで、ツーピーススーツは、スリーピーススーツが簡略化されたものです。

ちなみに「オッドベスト」とはジャケットと異なった生地で仕立てた単独のベストのことを指します。

ラペルとゴージライン

ラペル(下衿)とゴージラインによって見る人の印象が大きく変わります。

ラペル(下衿)には様々な種類があり、その形状や幅(狭い:シャープ、広い:安定感)によって見る人の印象が大きく変わります。

このラペル(下衿)とカラー(上衿)をつなぐラインを「ゴージライン」と呼び、 基本的にこの位置が高いほどシャープに、低いほど安定した印象を見る人に与えます。

このようにラペルの形状や幅、ゴージラインの位置によって印象が大きく変わるのですが、 ご自身の体形や、生地の色・柄も合わせて考慮する必要がありますので、詳しくは店舗スタッフにご相談ください。

ラペルとゴージラインについて

前ボタンと袖ボタン

前ボタンと袖ボタンにはそれぞれ主流があります。

前ボタンと袖ボタンの種類

シングルスーツの前ボタンは、主に2つボタン、3つボタン、段返り3つボタンが主流となります。
1つボタンはフォーマルな仕様となり、4つボタン以上はカジュアルな仕様となります。
現在は2つボタン、段返り3つボタンが主流となり、3つボタンはクラシックな印象です。

ダブルスーツでは4つボタン1つ掛け、4つボタン2つ掛け、6つボタンン2つ掛けが主流となります。


前ボタンの他に、袖には「飾りボタン」があり、3~5つが主流となります。

袖ボタンの仕様には「開き見せ(あきみせ)」と「本切羽(ほんせっぱ)」という2種類が存在し、
「開き見せ」は開かないボタンホールに飾りボタンが縫い付けられているだけで、ボタンを外すことができません。
「本切羽」はボタンホールと対になるボタンが存在し、ボタンを外すことができます。

サイドポケット

サイドポケットには主に5つの種類が存在します。

サイドポケットの種類

主なサイドポケットの種類は、フラップポケット・スラントポケット・チェンジポケット・アウトポケット・ノーフラップポケットの5つとなります。

「フラップポケット」は屋外での活動を想定した雨蓋付きのポケットで、雨や埃がポケットに入らない仕様のビジネススーツ向けのポケットです。
逆に「ノーフラップポケット」は雨蓋を必要としないため、屋内専用のフォーマル向けのポケットになります。

スラントポケット(ハッキングポケット)は斜めに付いたポケットで、ウエストが視覚的に締まって見える効果があります。
元々は手を入れ易くするために斜めにしたポケットだと言われています。

チェンジポケットはサイドポケットの上に付ける装飾的な小振りのポケットで、元々は小銭を入れるためのポケットだと言われており、
アウトポケット(パッチポケット)は共布を外から当てたポケットで、カジュアルなジャケットやブレザーに使用されることの多いポケットです。

ベント

ベントには主に4つの種類が存在します。

ベントの種類

主なベントの種類は、シングルベント・フックベント・ダブルベンツ・ノーベントの4つとなります。
ベントとは、フランス語で「風」という意味で、背中の裾の部分に入った縦の切れ込みのことです。

シングルベント(センターベント)とは、背中の裾の真ん中に入った切れ込みのことで、ベントの開き止りが、カギ状になったものをフックベントと呼びます。
元々は乗馬の際に背中の裾が突っ張ってしまわないように切れ込みを入れたことからはじまったと言われています。

ダブルベンツ(サイドベンツ)とは、背中の裾の両サイドに入った切れ込みのことで、
元々は騎士たちが鞍上で剣を抜き易くするために切れ込みを入れたことからはじまったと言われています。

ノーベントは切れ込みを必要としない、フォーマルなシーンを想定した仕様となります。